2007/01/26

納豆ダイエット捏造事件は、日本人の科学リテラシーの無さが招いた自業自得でしょ。

納豆ダイエット捏造事件に関して
メディアでの意図的捏造は偽証と同程度の罪を与えてもよいと思うけどなあ
メディアの捏造そのものは私は「コイツらはそんなものだ」と思っているけど、ここギコ!さんがで仰るように数字や実験データの捏造は許しがたい。

統計学をちょっとでも勉強したら分かるが、数字で簡単に(数字を知らない)人は騙せる。たとえば、アルアルで「このダイエット方法を3人が試して3人に効果が出ました」といってても、たかが3人試したからといって統計的に何の根拠にもならない。仮にたった3人に投与して副作用がなかったから、といって新薬が出回ったら怖いでしょう。アルアルでは実際にはもう少し巧妙だが、見る人が見れば信用に値する数字か、信用に値しない数字かは分かる。せめてトリビアのように「無作為にこれだけの人数を調査すれば統計的に優位」という数を調べてから調査して欲しいものだ。

でも、数値そのものが捏造だったら、何人にデータを取りましたという母数が捏造だったら、まったくお話にならない。科学の基本的モラルを崩しかねない非常に危険で悪質な行為だ。ここギコ!さんは偽証罪だといっているが、私はこれに加え詐欺罪も摘要してもいいくらいだと思う。もしこれを納豆メーカーが製作した番組なら、景品表示法や薬事法にも引っかかるでしょう。科学に対する反逆罪や侮辱罪なんてのもあればとさえ思う。


それにしても日本人の科学リテラシーは無さ過ぎる。今回の件は、日本人の科学リテラシーの無さが招いた自然の結果だと思う。国民がどんどん科学にバカになっていって、企業が情報をコントロールしているのだから、騙されて当然といえば当然。これ以上騙し騙されやすい組み合わせもないだろう。ある意味、自業自得。

日本だけでなく、アルビン・トフラー「富の未来」によれば、アメリカでも科学リテラシーはどんどん低下していて、超常現象やニューエイジ宗教に走る若者も多いそうだ。

私はもともとエセ科学には猛烈な反発をもっていて、日本人の科学リテラシーの低下(無さ?)に付けこんだエセ科学健康グッズ・健康食品はなんとかして欲しいと思っている。胡散臭い中小企業だけじゃなくて、世界に名だたる超大企業までブームに乗ってエセ科学製品を売り、宣伝する。みのもんたやアルアルやひどい時には新聞までがそれを「正当化」し、科学者たるべき学者さんがお金でコメントを売って「権威のハク」をつける。ある種のエセ科学は一種の「社会常識化」している。
たとえば「マイナスイオン」なるものはマーケティング用語であって科学用語じゃない。正体も効果も特定されていないものが、さも効用があるように堂々と売られている。
占いがエンターテイメントの領域を超えて幅を利かし「大殺界」「前世」などの用語が社会常識化している。
「生命を活性化し、悪いものを出す水」だって?水が悪いものと良いものをどう区別するんだ?植物には必要でも人間に毒な物質は「良い」のか「悪い」のか?その逆はどなんだ?ちょっと考えれば分かるだろう?

いったいどうなってるんだ、この国は。

逆に中国やインドは徹底的に科学に力を要れて国民の科学リテラシーを高め、次世代の覇権を狙っている。今の教育のある中国人から見ると、日本人やアメリカ人の大部分はどう見えるのだろう?

もちろん、100%エンターテイメントとしてなら、SFや占いは大歓迎。私はおみくじを引くのも好きだし、矢追純一系のUFO番組などはそのくだらなさを楽しんでいるし、スタートレックやXファイルなどのSFも大好き。だがあくまでもエンターテイメントで、これらがエンタの世界から出てくるのは許せないし、それらが人々から金や時間や富や幸せを奪っていくのはもっと許せない。


ちなみに、くだらない事でアンチ科学系の人たちと議論したくないので、「科学的」の定義について断っておきます。
科学というのは「理科の教科書に載っていること」ではない。これはあくまでも現時点で「検証の結果おそらく正しいとされている事実」の集積であって、それも100%正しいということはない。将来の科学によって覆される可能性は大いにある。そもその「理科の教科書に載っていることをそのまま信じる」のと「あるある大辞典をそのまま信じる」のに大差はない。そのまま信じることは科学ではないのだ。

科学とは「人が実証・反証できること」によって、自己否定が可能なように設計された、プロセスそのものだ。だから、「幽霊は実在するが、実証も反証もできない。あなたは信じるか信じないかしか選択肢がなく、確かめる方法はない」というのは科学ではない。確かめる事ができるプロセスが存在しないからだ。
「マイナスイオン」など、そもそも何を定義しているか明確でないものの効果など、実証も反証もできないので、これはエセ科学だ。この辺を突っ込んで知りたければ『人はなぜエセ科学に騙されるのか』カール・セーガン著 を読んでください。


私は幸い、中学時代に良い友人に恵まれたおかげで、「科学雑誌Newton」を読み始め、もう20年以上読んでいる。科学リテラシーがついたのは学校のおかげではなく、100%Newtonのおかげだ。Newtonは地味な雑誌だが、こういった地道な「科学を守る活動」はもっと評価される世の中になってほしいと思う。

(話題が話題なのでちょっと熱くなってしまった・・)

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